Softube Marshall プラグイン比較 レビュー
SoftubeのMarshall アンプシミュレータ プラグインをレビューします。Marshall本家公式ということもあって、アンプの実物感が圧倒的です!
Softube Marshall プラグイン 比較デモ音源
プラグイン比較デモ音源を作成しました。音源はプラグインを変えたのみです。今回はmomoseのストラトMC1-STDを使いました。全てフロントピックアップ(Seymour Duncan SSL-1) で弾いています。
Softubeの公式解説にキャビネットも含めてのアンプの音が語られていましたので、それぞれのアンプのデフォルトと思うキャビネットを選択しました。また、似た音になるように、というよりはそれぞれのアンプの得意な音の印象で設定しました。アンプそれぞれのキャラクターの違いが結構わかると思います。
比較したプラグイン
今回下記4つのSoftube アンプシミュレータを使っています。
②Marshall Super Lead 1959
③Marshall JMP2203
④Marshall Silver Jubilee 2555
SoftubeのMarshallシリーズのラインナップを見た時に「JCM800がないな」と思ったのですが、Amp Roomのアンプの一つとしてラインナップされていました。SoftubeのMarshallプラグインはこの他にBlues BreakerとKerry Kingシグネイチャーもあるのですが、今回はロック系のアンプに絞りました。
各アンプシミュレータの特徴と音の感想
Amp Room (JCM800)
Amp Room概要
Softubeのギター/ベース統合プラグインです。。各種エフェクター、アンプ、キャビネット/マイクシミュレータ、コンソールプラグインが一つになっており、エフェクトもアンプも全てルーティングが自由自在となかなかに高性能です。もともとAmp Room, Vintage Amp Room, Bass Amp Room, Metal Amp Roomとしてそれぞれラインナップがあったようですが、今は全てAmp Room一つにまとまっています。
ギターアンプはFender Twin Reverb, Vox AC30, Marshall JCM800, Engl Fireball(多分)があります。どれもクオリティが高いです。また、マーシャル公式ということでエフェクターにGuv'norがあります。Guv'norプラグインは意外と珍しい気がします。
キャビネット/マイクシミュレータは少し特徴的で、基本的にはキャビネットとマイクを選ぶだけで、細かい設定はありません。
元Metal Amp Roomにあった2種類のキャビネットはマイクの種類は固定ですが、オン/オフマイク、スピーカーからの距離とマイクミックスが可能です。
コンソールも、ただのコンプ/EQセクションではなくAPI Audioのコンソールシミュレートです。このクオリティで$149定価なのでそこそこお得感があります!
JCM800プラグインの音と操作感
操作は実機そのものです。特別な設定もないので迷わないですね。あまり効かないMIDDLEやTREBLE, PRECENSEの変化の感じも実物っぽいです。PRE-AMPボリュームと音量を決めるVOLUMEの設定がポイントですね。VOLUMEが下がった状態だと低音が少なく薄い音になるあたりもいいですね。PRE-AMPはあげると低音側が歪んでいく感じです。PRE-AMPの歪みは上げると結構ブリブリするので、個人的にはVOLUME全開の状態からPRE-AMPや前段のオーバードライブで歪みを増やしていくといい音を探しやすいと思いました。今回の他のマーシャルプラグインと比べると、「なるほど誰もが使ったアンプである」ことが納得できる、そつなく扱いやすい印象です。「マーシャルっぽい」でデフォルメされていない、実機アンプ感がします。
Marshall Super Lead 1959
Super Lead 1959プラグイン概要
マーシャルアンプについては概要説明はもはや必要ない気がしますので割愛します。このプレキシマーシャルを始め、その他マーシャルアンプは全て単体プラグインとしても使えるのですが、Amp Roomの拡張アンプとしても機能します。またマーシャル本社のリファレンス機をモデリングしているということでやはり他社のマーシャルプラグインとは一線を画すものかと思います。
Super Lead 1959の音と操作感
このプラグインの最大の特徴はCH1とCH2のリンクの再現ですかね。CH1は高音主体、CH2は低音主体でそれぞれかなり特徴的なので、どちらのチャンネルをメインで使うかをある程度ターゲットを決めて音作りをすると良いかもしれません。
実機を弾いたことがなかったので、マーシャル1959といえばVAN HALEN的サウンドが出せるだろう!と勝手に思っていたのですが・・・いやはやブラウンサウンド、難しいです。使いこなせばできるかもですが、おいそれとは出せませんでした。音の印象としてはどちらかというと、ジミヘンのFoxy Ladyのあのリフの高音が体感できた印象があります。あまり歪まないだろうと勝手に思っていたのですが、全開だと相当歪みます。そしてEQの効きかたも強烈です。手軽に全開設定ができるのはプラグインならではですね。かなりじゃじゃ馬感がありますがそれがすごくマーシャルアンプっぽいです。
Marshall JMP 2203
Marshall JMP 2203プラグイン概要
このアンプについてはあまり知りませんでしたが、JCM800の前身のモデルみたいですね。ランディーローズはこれだったんですね。
Marshall JMP 2203プラグインの音と操作感
「後のJCM800」と言われると「ああ、確かに」と思う部分もありますが、JCM800 とはかなりキャラが違います。こちらの方がよりトレブリーで、高音はストレートに伸びる感じがあります。PRE-AMPとMASTER VOLUMEを操作した時の高音/低音の増え方がJCM800とは逆で、MASTER VOLUMEを上げていくと高域が増えていきます。高音が目立つので、こちらもなかなかコントロールが難しいアンプですね。EQの効き方はJCM800よりもはっきりしています。うまく音作れるとなかなかハマります。歪みの少ない音はJCM800よりもこのアンプの方が得意な印象がありました。
Marshall Silver Jubilee 2555
Marshall Silver Jubileeプラグイン概要
このアンプもなんだかんだ最近知った気がします。復刻版が出たりとより人気増えている気がしますね。スラッシュはJCM800の印象でしたが、Silver Jubileeだったんですね。
Marshall Silver Jubileeプラグインの音と操作感
全体的に結構ドライな音がします。 歪みもそこまでブリブリせずに(全開にすればブリブリしますが)上げられる感じがありますね。OUTPUT MASTERとLEAD MASTER両方全開にした時のトーンがめちゃめちゃいいです。他のマーシャルプラグインと比較すると、非常に扱いやすい!と思いますが、一般的に考えるとセッティングはかなりシビアに思います。PRE AMPの設定で歪みの質感がだいぶ変化します。ハマればクランチも深い歪みもどっちもいい音出ますね。これは良いですよ!Rhythm ClipはJCM900でもあったダイオードクリップということで、要はエフェクターですね。JCM900のあの薄っぺらな歪みは個人的に全く好きではなかったですが、このプラグインのDiode Clipはそこまで変な音になる印象ないです。でもあんまり使わないかな・・・。
Jubileeのコンソールセクションもなかなかよくて、コンデンサ/ダイナミックどちらのマイクもキャラクター違いとして使える音がでる感じです。
4つのプラグイン全体的な所感、まとめ
SoftubeのMarshallプラグインの実機感、相当です!ちょっと間違えるとすぐ高域がシャーシャーなるところや、ゲインを上げすぎるとブリブリした音になるところなど、他のプラグインにはない本物のマーシャルアンプな感じがあります。単にEQで高域あげればいいとか、そういうことではなくボリュームのバランスやオーバードライブのトーン設定などで音を作っていける感じは非常に楽しいです!これまでのマーシャル系プラグインに対して「いいけど、なんか実際は違うんだよな」と感じていたマーシャルアンプ好きなユーザーは是非使ってみることをおすすめします。キャビネット/マイクシミュレータも全体的に良いです。低域も高域もレンジが相当広く感じます。ここまでのものはなかなかないかもしれません。ただその分、曲全体になじませるためにはギタートラック自体で、コンプやEQがなどアンプシミュレータの外での音も作り込みが必要と思います。
今回のマーシャルアンプを比較してそれぞれのアンプのキャラクターの違いがよく分かったりました。それぞれが、それぞれで得意/不得意がありますね。個人的な印象は下記の通りです。
Super Lead 1959: オールドなロックの音やるならこれかな。意外と歪む。ハムバッカーの方が合いそうかも。
JMP2203: クリーン、クランチがかなり良い!抜けの良いジャキッとしたサウンドが得意。
JCM800: 中域メインのマイルドでリッチなディストーションが良い。扱いやすい。クリーンも張りがある。
Silver Jubilee: 上記3つよりモダンでドライなサウンド。クリーン、クランチ、歪みどれを使ってもいい!
さて、音はいいんですがネックは価格かなと思います。Amp Roomは機能も多く音もいいのでぼちぼちなのですが、その他の追加アンプがひとつ$149は流石に高すぎる気がしますね・・・。全部揃えると相当ですよ。他の統合系ギターアンププラグインと比べるとかなり割高ですね。「とにかく実機マーシャルに近い音が欲しい!」というユーザーにはおすすめです。が、トライアルで全て試してからもっとも気に入ったアンプだけを買うくらいがいいような気がします。